~気が向いたときに好きなだけ行うワーク~『ストレス、うつ、自律神経失調症を治す』(主婦の友社)
□はじめに
皆さま、お疲れ様です。
メンタル故障しがちな求道者です。
私の人生の課題の一つが、メンタル不調の克服です。
この不調によって歩けなくなったり、不眠症からのエネルギー切れで身体が動かなくなったり……それで3回退職しておりますので、かなり根深い問題であります。
今回はそんな自分に役に立った本のご紹介です。
ストレス、うつ、自律神経失調症を治す
(主婦の友社)
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ところが、ストレッサーによる刺激が一定の限度を超えたり、あまり長く続くと、体内での防衛体制は破壊されてしまいます。防衛体制が破壊されると、心拍数の増加や血圧の上昇、筋肉の緊張などの変化があらわれます。そして、このような状態がさらに続けば、体には疲労が蓄積され、病気にもかかりやすくなってくるのです。
具体的な症状の段階としては、生理的には筋肉の緊張、食欲の低下、疲労感、不眠、精神的にはイライラ、憂うつ、不安、あせりなどのいわゆる「ストレス反応」となってあらわれ、さらに進むと胃潰瘍、高血圧、各種の頭痛、肩こりなどの疾患やノイローゼとなってあらわれます。(p7~8)
この本は、様々な先生の合作となっております。
(以下敬称略、掲載順)
山本晴義・大森正司・倉茂達徳
野村喜重郎・杉崎清子・野崎豊
土屋喬・佐々木薫・謝炳鑑
邱淑恵・関谷透・高田明和
邱紅梅・田島眞・いとうしんすけ
深堀真由美・越智啓子・三枝龍生
福辻鋭記・別府真琴・高野耕造
若野典子・谷津三雄・池田健
堀野俊郎・吉田健一・二村ヤソ子
坂田英明・廣戸聡一・入間川せいこ
奥村耕二・河野友信・李昇昊
奥山隆保・山田晶・笠原巖
落合敏・村崎光邦・松原英多
井上昌次郎・最上悠・水嶋丈雄
以上42名。
メンタル系に興味がある方は、見たことのある名前が載っていると思います。
掲載されているテクニックも、薬膳的に食べるものから、実際に体を軽く動かして症状緩和を目指すものまで様々。
自分に合ったものを選んで実践することができます。
また自分に合ったテクニックを担当している著者名から、その著作を調べていくことで、さらに深く技術を知ることができます。
それぞれのテクニックの名簿的な意味でも、この本は非常に有用です。
特に私は体を動かす系のワークが好きなので、いくつか紹介したいと思います。
□円歩き(謝炳 鑑)
過剰なストレス状態では、脳がオーバーヒートを起こしているといってもいいかもしれません。気を遣って、頭を使って、これを片付けたら次はあっちを何時までに片付けなくては……と常に悩みや考え事で頭がいっぱい。これでは、脳を休ませる暇はありません。起きている間だけでなく、眠っているときにまで悩み事を夢に見てしまうようでは、脳はストレスにどっぷりつかっている状態です。
そんな過労状態の脳を休めるためには、「なにも考えないこと」が一番ですが、なかなかそれが難しいのです。禅の究極の目標が「無の境地に至ること」であるように、無心になるには修行が必要。普通の人は、考えまいと思っても、やっぱりいろいろなことが頭をよぎってしまいます。
頭をカラッポにして脳を休めるためには、「体を使ったことに夢中になる」のがいちばんの方法。そこで、是非試して頂きたいのが【円歩き】です。(p30)
方法は、
ビニールひもや紙などを用いて、直径1メートルの円をじゅうたんや畳の上に描き、その上をゆっくり深呼吸しながら1日10~20分歩くだけ。(p30~31)
尚、体力に自信のない人、忙しい人などは5分からでもOKとのこと。
他の本でも、過剰な脳の活動を抑え、適度なデフォルトモードネットワークの活動に調整するため、「実際に体を動かして作業する」という方法が紹介されています。
ビニールひもを買っておけばわざわざ外に出かける必要もありませんから、朝起きた時に部屋着のままでもできますし、天候に左右されることもありません。
また外出するのが怖い方でも、お手軽に脳を休ませる方法となっています。
無論、普通の散歩も有用です。人間はある意味歩くことに特化した霊長類(サルもゴリラも人間のように長時間歩くことは出来ません)ですので、その特性を十分に生かすには歩くのがオススメです。
□セロトニンを分泌させるリズミカル動作(関谷 透)
心とは、とても自由なものです。たとえば、「今日は、本を100冊読もう」と思うことも簡単です。しかし、物理的にはどうでしょうか。脳の方がギブアップですね。気持ちが先走ることは、みなさんも経験があると思いますが、これがいきすぎれば、心が脳に負担をかけ疲れさせてしまいます。
このようなとき、「やらなきゃ。前は出来たんだから」とよけいに脳を疲れさせたり、「なぜできないのか」と理由を考えるのではなく、何も考えずに体を動かしてみるとか、実際に行動を起こして、「変われた、できた」という経験をすることがとても大切です。(p46)
ついつい私たちは、「みんなやってる!」とか「もっと頑張らなきゃ、社会で通用しない!」と自身を叱咤激励しがちですが、その行いのゆく末が「バーンアウト(燃え尽き)」であったりするので、メンタルの調子を損ないがちの人は、特に気をつけなければなりません。
そんな方にオススメのワークがこちら。
セロトニンの分泌促進には、動きとリズムが合わさった【リズミカル動作】が効果的です。体を動かすだけでもいいのですが、一定のリズムで動かすことで、よりセロトニンの神経系統を刺激します。リズミカル動作の簡単な例をあげれば、「踏み台昇降」や「膝上トントン」でしょう。
毎日する必要はありませんが「ちょっとやってみようかな」、そんな風に、気が向いたときに試してみてください。(p48)
膝上トントンとは、
イスに座り、膝の内側、外側をリズミカルにたたく。気持ちいいところを見つけたら、そこを集中的にたたいてみよう(p48)
というものです。
また、動作のポイントとして、
・自分のリズムを作り、一定のテンポで行う
・気が向いたときに好きなだけ行う
・日の当たるところで行うと効果的
(p48)
があります。
特に「気が向いたときに好きなだけ行う」という視点は魅力的ですね。
どうしてもトレーニングとかだと、「毎日〇回しなければならない!」みたいに指示されるので、「やる気出ないし疲れてるけど、やらなきゃ……」と思いつめて、やらなくなってしまうのが常です。
逆に「気が向いたときに好きなだけ行えばよい」となると、心理的なプレッシャーが減るので、取り組みやすくもなります。
それにメンタルを故障しがちな人は、「自分の心に鈍感」という傾向があると思われます。
辛いのに無理をしていたり、嫌なことでも自分の感情に蓋をして頑張ったり……そうやって自分自身に対する感覚が鈍化してしまうものですが、この「気が向いたときに好きなだけ行えばよい」という考え方は、心の蓋を取り除き、自分自身に向き合うワークにもなります。
私自身、趣味で何か始めても「もっと頑張って極めなきゃ」と肩肘を張りがちで、息抜きのつもりが余計にプレッシャーになってしまうことが多々あります。
そんな私にとってこの発想の転換は、本当に青天の霹靂でした。
□おわりに
たった2つのワークをご紹介するに留めましたが、本書はフルカラー写真入りで実際の動きがわかり易く紹介されていますし、医食同源というべきか、「食べて治したい」という方向けにもオススメレシピが載っていたり、メンタルに効く漢方の紹介があったりと、かなり色んな方面からのアプローチが記されています。
また、冒頭の書籍紹介のところでも述べましたが、様々な分野の先生がメンタルについて述べておられるので、この本を目次にして、気になった先生の著作を調べると、もっと自分に合ったアプローチを調べることが出来ます。
本書はその足掛かりとしてうってつけですので、気になった方は是非ご入手ください。
では、また次回。
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