求道者の平穏への道標

うつ病歴約10年、退職3回した私が、「平穏な人生を歩みたい!」と手探りで進んでいく記録。自己啓発、ビジネス書の感想メインです。

~“「成功しすぎない」という考えが、私を解放してくれたのだ”~『内向型のままでも成功できる仕事術』(モラ・アーロンズ=ミリ)


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□はじめに

皆さま、お疲れ様です。

根性論の苦手な求道者です。

 

「気合と根性でやれ」とか「無理というのは嘘つきの言葉なんですよ」みたいな言葉を鵜呑みに出来たのは20代前半まで……30代になった今や、頑張りすぎると発熱と関節炎で起き上がれなくなる始末……衰えを如実に感じます(-_-;)

 

その中で、「自分が出来る範囲の成功」、「自分に合った生活の確立」というものの必要性に迫られる日々です。

 

どうやったら自分に合った生活を創造できるのか……そもそもどのような生活が自分の理想なのか……そう悩み始めた時にオススメなのが、今回の本です。

 

『内向型のままでも成功できる仕事術』

(モラ・アーロンズ=ミリ)

 
 

内向型のままでも成功できる仕事術【電子書籍】[ モラ・アーロンズ・ミリ ]

 

作者のモラ・アーロンズ=ミリは「ウィメン・オンライン」という社会貢献を考える女性の支援を行うマーケティング会社の経営者です。

オバマ大統領の選挙活動で、ママブロガーを集めてアンケート調査を行ったり、マララ・ユスフザイや国連が世界で行っている、女子就学支援事業をサポートするためのデジタルツールを作成したりしました。(p6)

 

経歴だけ聞くと、彼女は切れ者のバリバリキャリアウーマンに思えますが、実際は全く異なるそうです。

彼女いわく、自身はかなり引きこもり型の人物で、大勢の前に出るとパニックになってトイレに隠れたり(本書の英語原題は文字通り『Hiding in the Bathroom』)、「教会で説教を聞いたり、考えたりすることが好きだが、その後に続くコーヒーを飲みながらの親睦会が、どうにも苦手だ(p118)」という性格の持ち主だそうです。

 

上記のエピソードのみにあらず、この本は内向型の人には「あるある」の連続です。

彼女の教会の例ではありませんが、私自身も仕事の後の飲み会とか慰安旅行とか、本当に苦痛でたまらないし、読んでいて頷きたくなることばかり出てきます。

 

また、内容も本自体も厚めのものになります。

(私の手持ちのブックスタンドにギリギリ収まるサイズ)

自分の不安の飼いならし方、目標の立て方、時間の使い方、戦略の立て方、営業の仕方、人脈の広げ方、交渉の仕方――など項目は多岐にわたります。

 

この一冊で、起業向けビジネス系自己啓発書の入門編は事足りるのでは?と感じるくらいに。

 

全部紹介していると限りがないので、今回はこれらの中から『自分の不安の飼いならし方』、『人脈の広げ方』の章から、一部をご紹介したいと思います。

 

 

□ワーク・ライフ・フィット

 

現代社会では皆が、「もっと頑張れ」「もっと上を目指せ」という言葉に背を蹴飛ばされ、息を切らせながら走っています。――人手は足りない、景気も悪い。しかしそれでも売り上げを伸ばさなければならない。仕事が終わったら勉強してキャリアアップだ――そしていつか、心身ともに摩耗して倒れてしまう、というパターンは非常に多いです。

 

立ち止まることが許されない世の中は、内向型の人間にとっては、本当に地獄です。

 

作者はこのような情勢に、フェイスブックCOOの書籍『リーン・イン(一歩踏み出そう)』を引き合いに出して、下記のように述べています。

 

わたしたちの世代はどれほど野心があっても、常に「リーン・イン」すればうまくいくわけではない。フルタイムで働きながら大学院に通い、家に帰れば幼児がまとわりつき、病気の親の世話もしなければならず、かといって、どんなに嫌でも昼間の仕事を辞めるわけにもいかない。「リーン・イン」というコンセプトは進むか止まるかの二進法だから、どんどん働いてもっといろんなことをしなければ失敗したことになる。それは一人の人間に何もかも達成するよう、とてつもない量のプレッシャーをかけることだ。「リーン・イン」しすぎて、頭から転ぶこともあるだろう。(p47)

 

当然のことながら、こんなハードワークがこなせるのは一部の超人だけです。大多数の一般市民はどこかで折り合いをつけなければならないし、私のように色んなことを持て余してしまう人は、もっとやることの配分を考えなければなりません。

 

このように、やることを絞る上で必要な考え方に、文中では『全体の成功』、『健康的な仕事と生活の組み合わせを考える「ワーク・ライフ・フィット」』『ストレスと収入のバランスの最適化』という言葉が出てきます。

 

つまり本当に考えなくてはいけないのは、「あなた自身」だということ!貴方の考える成功とは何か、だ。わたしにとっての成功は、それなりの暮らしをできる程度の稼ぎがあり、ホームオフィスにこもって仕事ができることだが、そんな「リーン・イン」しない仕事は失敗でしかないと思う人もいるだろう。どちらも正しいのだ。(p48)

 

そうして彼女は自分自身と繰り返し対話していく中で、

 

「その時気づいたのです」わたしは同窓会の聴衆に訴えた。「他人の夢をかなえるため、他人の期待にこたえるために必死で働く、という悪循環にとらわれていたのだと」自分には静かな生活と、自分にとっての成功とは何かを見直すことが必要であり、そのためにどうすればいいかを考え、楽しく仕事ができる環境を手に入れなくてはならない、とわたしは悟った。「成功しすぎない」という考えが、私を解放してくれたのだ。(p22)

 

ということを発見したのです。

 

そこから彼女は「ゆるやかな成長曲線」を目指して、工夫をしていくのですが、そこは本編をご覧ください。

 

□人脈の持ち方

この本の作者は、自ら起業した社長なので「ひきこもりのためのユルい企業」の方法が色々と書いてあるのですが、その中でも特にユニークであると感じたのが「人脈の広げ方」についてでした。

 

この項目でキーワードになるのが、「スーパーコネクターという存在です。

あなたを出世させられる力を持つ人物を、いつも紹介してくれるような人(p336)

 

という意味合いで、自営業として社会の一員(無人島で自給自足の生活をしている訳でなければ、内向型も他人と無関係ではいられないのです……)となるためには必要な存在です。

 

スーパーコネクターはおそらく、親友や親しい仕事仲間の中にはいない。人脈がほとんど同じことが多いからだ。おそらく、ほんの知り合いといった程度の人物――ソーシャルワーキングの理論でいえば、「弱い絆」の相手に、スーパーコネクターはいる。人脈作りにおいては、親友よりずっと重要になる相手である。(p337)

 

別に、そのスーパーコネクターを得るために人脈の輪をドンドン広げていく必要はありません。

(内向型の人間にとって、交流会に出て名刺交換とか雑談をこなすのは苦痛ですし)

 

引きこもりの人脈作りは、とある小規模ビジネスの経営者のこの一言に集約されている。

「自分であちこちいかなくたっていいじゃない。自分の事業はいつも決まった10人からまわってくるんだから」(p337)

 

筆者はスーパーコネクターの見つけ方の例として、

 

・直近10件のプロジェクトを思い返してみて、新しい上司や、仕事のチャンス、顧客などを紹介してくれた人を書き出す。

・自分の事業に関連する領域を書き出してみて、いつも自分に新しい視点を教えてくれる顧客や、イベントはないか調べてみる。

(p343)

 

などを挙げています。

 

無論、実際に交流会で出会う人物だけがスーパーコネクターと成り得る訳ではありません。

何か自分の専門を極めたブログ等があれば、それらを中心に人が集まる場合もありますし、ネットコミュニティでつながりができることもあります。

 

自分なりの方法で、しかも無理のない範囲で人脈を保持することが、何より大切なことなのです。

 

□おわりに

 

いかがだったでしょうか。

ご紹介できるのがほんの一部で、魅力が伝えきれないのが残念です。本書には内向型が生活で気を付けるべきところから、起業してやっていくところまで、シームレスに書き表されています。

 

この本の魅力は、なんといってもこの守備範囲の広さです。

全ての個所に目を通さずとも、いま必要なところに目を通すだけでもかなり有用な本だと思います。

 

また彼女自身のエピソード自体もかなりユニークで、「自分に足りなかったのは、この考え方やテクニックだったのか」と目から鱗が落ちることが多々あるでしょう。

 

是非とも何度か思い出した時に、読み返して頂きたい1冊です。

 

 

では、また次回。

 

内向型のままでも成功できる仕事術【電子書籍】[ モラ・アーロンズ・ミリ ]